突撃!!お仕事リサーチ!! [第3回] BIGBOSS 京都店

2018/08/05 Teenage Kicks

TEENAGE KICKSを支えていただいている企業に突撃し、その企業が普段どんな仕事をされているのかをリサーチする企画『突撃!!お仕事リサーチ!!』

第3回目である今回は、BIGBOSS 京都店 店長の出崎 正己(でざき まさみ)さんにBIGBOSSの大きな特徴であるリペアの話を中心にお話を伺って来ました!

 

 

僕らの考えは、ギターは生き物って考えです。

———リペアの方は何人くらい、いらっしゃるんですか。

それは、今メインでやってもらってるは二人なんですけど、ウチのスタッフは基本、修理とかギター作る専門学校出てるので、全員できるんですよ。専属のリペアの担当の人がたまたま休みやっても他の人が対応できるっていう感じです。

———何を修理されてるんですか。

弦楽器ですね。ギター、ベース、アコースティック、クラシックだとかウクレレとか

———リペアって色々あると思うんですけどどういうところを直して欲しいとかっていうのがあるんですか。

一番多いのは、ギターって木でできてるじゃないですか。ほとんど全部。どうしても変形してくるんですよ。気候の変化とか温度とか湿度が変わると、木って縮小したり膨張したりするので、曲がってきたりするんですよ。一番多いのは、ネックが反ってくる。それが圧倒的に多いですかね。その修理がほぼ毎日ありますね。

———なるほど、そのネックってどのギターも悪くなるじゃないですか。だいたいどの程度で悪くなったりするんですか。

それはね、ギターの個体によります。人間と一緒でいつ体調悪くなるかわからんし、ちゃんとした温度とか湿度とかの環境のええとこに置いといたら、反りにくいですし。

———そうなんですね。乾燥とか湿気で伸びたり縮んだりするのって生き物みたいですね。

生き物ですよ。僕らの考えは、ギターは生き物って考えです。で、ずっとそうやってメンテしていくと、だんだん抵抗力じゃないですけど耐久性が出てくるんで。ヴィンテージとかオールドギターっていわゆる価値のある昔のギターってあるじゃないですか。ああいうのって、ほんまにほとんど固まっててほとんど動かないんですよ。

ーーー逆にヴィンテージって脆いイメージがあったんですけど、全然違うんですね。

あー、まぁパーツとか金属部分はどうしてもサビが出てきたり壊れたりしちゃいますけど、木材っていうのは年月が経てば経つほど熟成してくるので。

たくさんの工具がありました。

結構ね、やりだすと奥が深いというか、凝りだすともうずっとやってしまいますね。(笑)

ーーーリペアだけじゃなくて、メンテナンスもされてると思うんですけどメンテナンスは、どんなことされてるんですか。

メンテナンスだと、弦の交換とかですね。結構、最近の人達は弦変えられない人達多いんですよ。弦交換の依頼も多いですね。接触不良とかを防止するために電気系統のクリーニングもしたりします。あとは、指板も保湿をしてあげることによってネックが反りにくくなったりするのでそれも弦交換をしたついでにオイル入れたりとかしてますね。結構ね、やりだすと奥が深いというか、凝りだすともうずっとやってしまいますね。(笑)

ーーー出崎さんが好きな作業ってありますか。これ楽しいなとかありますか?

気に入ってる作業ですよね。メンテというよりもカスタムに近いかもしれないですけど、配線の組み立て方というか、エレキギターだったらピックアップとかボリュームとかスイッチとかあるじゃないですか。ただ単に配線繋ぐだけじゃなくて線の這わし方とか長さとか、それを束ねて、綺麗にする。

ーーーどうギターの中を綺麗にするのか、スッキリさせるのかっていうことですね。

そういうのは、こだわってしまいますね。見えないとこじゃないですか。けど、僕らみたいなプロとかがパカって開けた時に、中の配線図見た時に「めっちゃ綺麗」ってなったらテンション上がるんですけど。それをしちゃいますね。

ーーーカスタムって言葉が出ましたがカスタムはどんなことをするんですか。

カスタムは、まぁ、単純に音を変えるために色々バージョンアップさせたり…定番で言うとピックアップ。エレキギターで言えばマイクの部分で、心臓部なんでこれを変えることで音がバッと変わるんで、それは結構多いですね。中には、色を塗り替えてくれとかっていうのもありますよ。

ーーーここでですか?

塗装自体は、塗装工場がまた別であるんですけど、塗装以外は全部ここでやってます。

ーーーじゃあ、ほんとに色んなことやってもらえるんですね。

そうですね。結構、違うお店で断られたとか「これは難しいな」とか言われたってお客さんは来ますね。

ーーーそれも引き受けるんですね。

まぁ、可能な範囲でですけど。あとは、まぁ、ポリシーなんですけど、絶対、お客さんと相談しあって、アドバイスしたりしますね。より良くするために、こっちの方がいいよとか、それするとこっちの方が安くで済むよとか良くなるよとか。

こちらが出崎さん。おおらかな雰囲気で優しい方でした。

まぁ、大切に折らないのが一番なんですけどね(笑)。

ーーー今までやってきた中でこれ大変やったとか気合い入ったなとかってありますか?

実際、いっぱいありますけど、ネック折れかな。

ーーーそういう時はどうするんですか。

木が折れちゃってるんで、ギターで使う木工用ボンドってあるんですけど、それを使ってくっつけて同じところが折れないように補強して、で、削って木を平らにして塗装し直して見た目はもう全くわからないところまで持っていくっていう

ーーーそれって何日ぐらいかかったんですか。だいぶかかりますよね。

どこまで直すかっていう程度と、あと金額でも多少変わるんで。例えばさっき言った、くっつけるだけやったら結構早くできるんですよ。それこそ一週間〜10日もかからんかなっていう、接着剤が乾くまでなんで。でも削って塗装までしてくれってなってくると、塗装の乾く期間なんで、3ヶ月くらいかかりますよ。

ーーーなるほど。折れる前と折れた後の音が変わったりしないんですか。

厳密的に言うと、弦の振動率っていうんですけど、弦の振動がボディとかネックに伝わってボディ鳴りっていうのがするんですよ。その振動率は、変わると思います、ただそれを耳で聴き取れるかってレベルですね。

ーーーネック反りとかも、折れた後やからっていってバンバン頻発しないようにはならないレベルになるんですか。

そうですね。くっつけた時に生じる、その切れ目とか断線って出てくるじゃないですか。それも平らにするっていうか削ったりするんで、握った時のグリップ感は多少変わるかもしれないですね。それも塗装することで分厚くできたりするんですけど。

ーーーバキッていっちゃったりしても、持ってくれば治るんですね。

そうですね。よっぽど変な折れ方じゃなければ。中にはあるんですよ、もう木のクズがパキパキに折れて、元の木の部分がなくなってたりとかそうするとなかなか復元は難しい。

ーーーでも、楽器持ってる人って楽器に思い入れあると思うんですけど、壊れちゃった時ってショックやと思うんですよね。

そうですね、みんな泣きそうな顔で来ますね(笑)

ーーー壊れても、ここに持ってきたら治るって嬉しいですよね。

そうですねー、料金は高くなるかもしれないですけど(笑)。

ーーーでも、他のギターに買い替えたりするのはもっとかかるでしょうし、やっぱりこの音がいいっていうのもあると思うし、すごい素敵な仕事ですね。

そうですかね。まぁ、大切に折らないのが一番なんですけどね(笑)。

もう僕は、リペアマンとかクラフトマンは接客業やと思うんで。

ーーーリペアとかカスタムとかメンテナンスとかって、楽器屋の人は本当にパパパパってやるじゃないですか。なので、ちょっと勉強したら誰でもできるようになるんじゃないかなって思ってたんですけど、でも全然違いますね。

そうですね。奥は深いですね。ギターも人間と一緒で十人十色なんで同じギターってないんですよ。同じモデル同じ型番でも、絶対コンデションは違うんですよ。なので、それに合わせた100パーセントのメンテっていうので全力でやるって感じですね。あと、要所要所のポイントがあるんでそれを掴んでれば、自分でできると思うんですよ。僕らもやりながら、お客さんに教えるんですよ。「一回もし、自分でもやれそうやったら、挑戦してみたら?ってそれでもあかんかったら持っておいで」って、そんな感じではやりますね。

ーーーそれこそ、さっき話に出てきた弦交換とかもですよね。

弦交換はお客さんがもちろん良ければですけど、毎回教えます。見ながらこうやって、そのために向かい合わせでできるカウンターテーブルがあるんですよ。ここで作業しながらお客さんと一緒にってやったりするんですよ。

ーーーコミュニケーションが凄いありますね。

好きな人には、面白い空間やと思うんでね。

ーーーリペアとかって、一人で楽器と向き合うイメージがあったんですけど、対人的なこともされるんですね。

たまにですけど、ワークショップとかでエフェクターをオリジナルで1つ作ったりとかそういうイベントもしてますね。

ーーーそれはもう、クラフトの方が来てっていう。

そうですね。一人ひとりに教えながらやっていくっていう感じで

ーーーイベントがあったりコミュニケーションをとりながらリペアをしたり、お客さんと関わりの強い楽器屋さんですよね。

そうですね。そうありたいですね

ーーーそれはなぜ、そうありたいと?

やっぱり、僕らギター作ったり直したりしてますけど、その先には使う人の好みとかプレイスタイルとかがあるわけなんでそこが分からないと直せないですし、改造もできないですからね。「弦高を低めにしてください」って依頼があるじゃないですか。僕らが思ってる弦高低めと、この人が思ってる弦高低めが全然違ったりするんですよ。だから弦高低めにしたけど、お客さんからしたら「全然低くないんですけど」みたいなことが起こるので、そこはまずギターじゃなくてお客さんと向き合わないと。人それぞれ全然違うじゃないですか。

ーーーそこも多種多様なんですね。

そうです、もちろんもちろん。もう僕は、リペアマンとかクラフトマンは接客業やと思うんで。職人業でもなくて、製造業でもなくて。

工房のデスクは、お客さんとコミュニケーションが取れるように、L字のカウンターデスクになっていました!

やっぱり現場で、吸収することの方が圧倒的に多くて大事ですよね。

ーーー工房って、「お客さんは入れません」みたいな感じだと思ってたんですけど、オープンなんですね。

そうですね、もう、うちはオープンに。パーツもここに置いてあるので、お客さんが「これ、つけたらどうなる?」とか言いながら一緒に。

 

ーーーそれは、ここならでは、クラフト系に強いビッグボスやからこそですよね。

まぁ、どこの楽器屋さんにもギターを扱える、メンテしてくれる人はいるとは思うんですけど、確かに僕らもこだわってやってますね。求人のハードルも高いと思われがちですけど。楽器屋で働きたいっていう子はいるんだけど、うちはハードルが高いと思われることが(笑)リペアできないといけないとか思われがちです。まぁ確かに、最終的にはできるようにならないといけないんですけど。

ーーー入ってから教えたりとかは

もちろんありますよ。別にその専門学校出てないと入れないっていうのもないんですよ。一般の方でも募集したりとかして普通にきてくれたりとかもするんで。そういう人には、来てから色々教えたりとかもするんで。

ーーーそれやったら、さっきも言いましたけどほんまに教えてもらったら誰でもできるようになりますね。

そうですね。もうほんまに好きであったらね。好きなことに没頭して追求してる部分は誰でもあると思うんですよね。それがあれば、多分うちはできると思います。

ーーー出崎さんは、クラフトのことは学校で学ばれたんですか?

実は、僕だけ行ってないんです。

ーーーそうなんですね!じゃあまさにここで。

僕はもう叩き上げですね。ほぼ入ってから覚えたことが九割です。それまでは、自分で言うのもなんですけど無知でしたよ。

ーーーなるほど。

今は、当たり前ですけどね。そういうギター作る専門学校卒業した子が入ってくるじゃないですか。全然できないんですよね、最初はそれが当たり前なんですけど。やっぱり現場で、吸収することの方が圧倒的に多くて大事ですよね。学校で教科書で見たものより

ーーー実際に体験したり、やってみてだったり他にやってる人のものを見て盗んだりとかですよね。これは、リペアマンに限らず、バンドマンや色んなことに言えることですよね。

それはそうですね。

ーーー最後に、楽器屋さんとして、バンドマンだったり楽器をする人に対してどういう人が増えていったらいいなぁとかってありますか。

もう、時代とは合ってないかもしれないですけど、バンドやって欲しいですかね。やっぱり、ライブしてステージに上がって欲しいですかね。今は一人でなんでもできちゃうじゃないですか。パソコンとかで家で作って、自分でできたりするじゃないですか。で、Youtubeとかにあげて。まぁ、あれも1つのステージなんでしょうけど、やっぱりバンドして欲しいですね。友達同士で、知り合い同士で合わせてセッションでグルーブ感を出してステージに出て欲しいですね。

BIGBOSS 京都店

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文・岡本 海平
写真・濱崎 カズキ

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